『地球を踏みしめて』
校長・木村 功

初夏を思わせるまぶしい日差しを受けながら、木々の緑も深みを増す季節、校内は溌剌とした活気に溢れ、若いエネルギーが躍動しています。とりわけ、放課後の部活動は、新入部員を迎えた初々しい雰囲気の中、目前に控える大会や発表会に向け、緊張感をもって熱のこもった活動が展開されています。特に運動部は、高校総体地区予選が四月中旬から始まっており、ベストの状態で大会に臨むべく、体育館やグランドでの練習にも気迫が満ち溢れています。一年生七人を新入部員として迎え、計四十八人で新年度の活動を始めた野球部。例年よりやや人数は少なめですが、それを感じさせない元気のよい掛け声がグランドに響きわたります。これからシーズンも本番。密度の高い練習に「熱い夏」への期待が膨らみます。近年、スポーツは科学の一領域として研究も進み、選手育成にも種目の特性に応じた効率的・合理的な手法が積極的に取り入れられていると開きます。試合前のインタビューで「思い切り楽しみたい。」と発言する選手が目立ちます。この言葉を声に出して言うことで自分白身を極度の緊張から解放し、本来備えている身体能力を引き出そうとするのだそうです。科学的メンタルトレーニングの具体的な成果の一つと言えます。また、昨年度野球界を引退した王貞治氏が、かつてインタビューの中で「打席に立つときは、グランドに立つのではなく、地球を踏みしめているのだという気持ちになることが大事」と答えたという話を知っている人も多いでしょう。どちらのケースからも、「心」と「身」が常に一体のセットであることが理解できます。野球部の皆さんが心身両面を一層鍛え、地球を踏みしめる気持ちを持って闘えるチームに成長してほしいと願います。さて、夏の大会までおよそニケ月。皆さんは本番までのニケ月をどのように過ごしていくのでしょうか。これまでの先輩方同様、毎日ひたむきに練習に取り組むのは当然のこと、学習や学校行事等、学校生活のすべてに手抜きなしの、おそらく人生で最も「濃い」ニケ月を経験するに違いありません。それが典型的な島高生の生活スタイルであり、「島高生気質」そのものだからです。グランドの中でも外でも全力投球、その姿勢を貫くことが、同じ「気質」で結ばれる島高生の全力応援にスイッチを入れると同時に、保護者や後援会、地域の皆様など、日頃から野球部の活動を支えてくださる方々の御尽力に報いることにもなると思います。プロセスは結果に表れるものと期待しています。

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