『失敗しよう』
監督・荒波 和彦

 日頃は、本校野球部に多大なるご支援、ご声援をいただきまして、誠にありがとうございます。この場を借りて、深く感謝致します。さて、「失敗学」という学問(?)を知っていますか? 工学院大学の教授 田村洋太郎先生の提唱する学問です。著書『失敗学のすすめ』を引用させてもらえば、失敗といかに付き合うかによって個人の成長、組織の発展が大きく違ってくるということ。起きてしまった失敗に積極的に取り組んでうまく生かせば、その後の創造の大きなヒントになるし、また、次にくる大きな失敗を未然に防ぐことができる。反対に失敗を避けて隠していれば、成功もおぼつかないし、大きな失敗を防ぐこともできない。昔から「失敗は成功の母である。」と言うように、失敗することで、探求し、新たな発見をしながら成功に導いていくもので、失敗しないと言うことは、そこに満足し、それ以上を求めないのであって、進歩も何もない。だから、大いに失敗しなさいと、しかし、現在の教育では、決められた設問への解を最短で出す方法、「こうすればうまくいく」「失敗しない」ことを学ぶ方法ばかりが取り入れられている。と言っています。「痛い目」をみない。あったことがない。島田高校の野球部はどうでしょうか?確かに失敗を怖がったり、結果を考えすぎることが多くあります。
監督が怖いのかもしれませんが…。ただ、目的の見える失敗や積極的に挑戦した失敗なら大歓迎です。なぜ、失敗したか、どこが悪かったのかを反省し、次には同じ失敗を繰り返さない。「痛い目」を沢山経験する。そんなチームになっていってほしいものです。楽天の野村監督が、「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」と言っていますが、その通りだと思います。負けるべくして負ける。その負けの原因、失敗を追究し反省し次に生かす。「不思議な勝ち」からはなにも得る物がありません。「不思議の負けなし」を肝に銘じておきたいと思います。「島田高校生は、素直でよゐこが多いですね。」とよく言われます。「素直」が、いうことを聞く子のことであったり「よゐこ」が、反抗しない子のことだったりしたらどうでしょうか。冬休みに行った郵メイトでは、郵便局長自らが学校を訪れ「野球部の生徒さんは本当によくやってくれました。本当に素直な良い生徒さんですね。来年もぜひお願いしたい。」と言って頂きました。監督冥利につきます。ただ、言われたことはしっかりこなしていたというだけなのか、それ以上に気付き行動できていたのか。「失敗しない」ことだけをしていたのかはわかりません。アルバイトですから、それでいいと思いますが、野球という勝敗を競うスポーツでは、それだけでは勝てません。反骨心や闘争心が必要です。自分自身に、チーム内のライバルに、そして対戦相手に絶対勝つ。仲の良い、お人好し軍団から脱皮したとき、今年の選手権は、本当に楽しみだと思います。「あいつ等、へたくそで失敗ばかりしてたけど、うまくなったね。」と、言って貰えたらいいですね。

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